目次

家の解体工事費用の相場は20,000~80,000円/坪ですが、家の構造や立地、築年数によっても大きく異なります。

この記事では、家の解体工事費用の相場、費用を抑えるポイント、申請できる補助金の種類を解説します。

家の解体工事費用の相場は20,000~80,000円/坪

家の解体にかかる費用相場はおおよそ下記のとおりです。

構造

1坪あたりの相場

木造

20,000~55,000円/坪

鉄骨造

30,000~60,000円/坪

鉄筋コンクリート(RC)造

35,000~80,000円/坪

[参考]

リフォマ:住宅解体にかかる費用と気になる内訳を説明します!(2022.2.22)

SUUMO:一戸建ての解体費用の相場は? 解体費用を安く抑えるコツと、更地にするメリット・デメリット(2022.2.22)

具体的な金額は地域や立地、築年数、広さによっても異なります。

とはいえ、木造のように容易に解体できる建材を使っている方が費用はかからず、RC造のように頑丈な建材を使っている方が高額になりやすいです。

坪数別 解体工事費用の目安

坪数・構造別の解体費用の相場は下記のとおりです。

 

20坪

(66.12平米)

30坪

(99.17平米)

40坪

(132.23平米)

木造

400,000~1,100,000円

600,000~1,650,000円

800,000~2,200,000円

鉄骨造

600,000~1,200,000円

900,000~1,800,000円

1,20,000~2,400,000万円

鉄筋コンクリート造

1,700,000~1,600,000円

1,500,000~2,400,000円

1,400,000~3,200,000円

上記以外に、付帯する工事があれば、その分の費用が加算されます。

また、坪数別の間取り目安をまとめると、以下のとおりとなります。

  • 20坪:2LDK~3LDK
  • 30坪:3LDK~4LDK
  • 40坪:4LDK~5LDK

平均的な2階建て・4LDKの一軒家は30~40坪のため、解体費用は1,000,000~3,000,000円程度が相場と考えてよいでしょう。

家の解体工事にかかる費用の内訳

家を解体する際は、本体の解体費用以外にも、廃棄物処理費など大きく分けると下記の費用がかかります。

  • 仮設工事費:1割
  • 解体工事費:3割
  • 廃棄物処理費:3割
  • 整地工事費:1割
  • 諸経費:1割
  • 付帯工事費:追加発生

以下、それぞれの費用の内容について、くわしく解説します。

仮設工事費

解体工事を始める前に、足場を組み立てたり、防音・防塵シートで家を囲ったりする作業で、費用は全体の1割かそれ以下です。

見積書では、仮設養生費などとかかれる場合もあり、下記の作業が含まれます。

  • 仮設トイレ・水道・電源の設置
  • 侵入防止フェンスや防音・防塵シートの設置(囲養生など)
  • 足場の設置

解体作業を円滑に進めるための設備を整えるだけでなく、解体中の事故やトラブルを未然に防ぐためにも必要な作業です。また、事前作業にはアスベストの調査作業も含まれます。

解体工事費

家を重機で解体するために必要な費用で、人件費の他、重機のリース料などが含まれます。解体工事費用全体の3~4割と、多くの部分を占めています。

重機が使えない場所では、手作業で解体を進める「手壊し解体」(人力解体)が必要なため、高額となるケースもあります。

廃棄物処理費

コンクリートや木くず、ガラスくず、屋根の瓦、庭木など、解体した際に出る廃棄物の処理費用で、3~4割を占めています。

建物や壊し方による差はあるものの、30坪の一般的な家屋なら、4トントラックで5~10台分の産業廃棄物が出ます。

また、産業廃棄物は種類ごとに処分費用が異なり、木くずや金属くずは比較的安価なのに対し、混合廃棄物などは高額となります。

整地工事費

住宅を解体した後は整地作業を行います。

整地とは、解体後にでこぼこになった土地を平らにならす作業で、土地の売却や、新築住宅の着工のために必要です。

瓦礫などを除去して土をならしただけの「荒整地」から、その上に砕石や真砂を敷き詰める方法まで、土地の次の用途により整地方法も異なります。

諸経費

解体工事をするにあたって必要となる費用です。

事務手続きにかかる費用や、保険、車両の運搬などにかかる費用が含まれます。

なお、必要な事務手続きの多くは業者で代行して行うため、依頼主が行う必要はありません。

  • 近隣挨拶
  • 建設リサイクル法の届け出
  • 道路使用許可の申請
  • 重機回送費
  • 工事賠償保険料

さらに細かな費用(駐車場代など)は、「諸費用」として計上される場合もあります。

付帯工事費

家の解体以外にかかる費用が付帯工事費です。

付帯工事は行わないこともあるため、家の解体費用の相場には含まれないものとして考えます。

具体的には下記のような工事が付帯工事に含まれます。

  • 室内不用品の処分
  • 庭木・庭石の撤去
  • 門扉・壁の撤去
  • 物置・倉庫の撤去
  • 井戸・池の埋め立て

また、アスベストが含まれる建物の解体では、別途「アスベスト処理費用」が発生します。

以上のように、家の解体に必要な費用は細分化されています。また、その家の状況によって必要な工事は異なります。

家の解体工事費用を決定する要素

家の解体にかかる費用は以下の要素により変動します。そのため、相場どおりにいかないケースも多くあります。

  • 地域
  • 立地
  • 構造・大きさ
  • 付随工事の有無
  • 解体業者

それぞれ解説します。

地域

家のある地域によっても、解体相場は変動します。

木造の家を例に挙げると、以下のとおりです。

東京都:39,000円ほど/坪

大阪府:31,000円ほど/坪

[参考]適正価格のあんしん解体 解体無料見積ガイド:解体工事費用の内訳とは?見積書の見方も解説

このように、東京都と大阪府では坪単価で8,000円近くの開きがあることがわかります。また、都市部の場合、隣家までの距離が近いことも多く、解体の際は地方以上に騒音や粉塵などに注意して作業しなければいけません。そのため、都市部と地方を比較すると、都市部の方が人件費や重機のリース費用がかかり、解体費用も高額となる傾向にあります。

立地

周囲が開けており、重機やトラックなどが入りやすい場所に家が立っていれば、解体に伴う追加費用も発生しません。

しかし、隣家との距離が近かったり、道路が狭かったりすればそれだけ解体作業も難航するため、人件費などの費用も加算されます。

構造・大きさ

2階建て・20坪・木造など、構造が単純であれば解体もスムーズに進行するため費用を抑えることができます。

しかし、同じ木造でも、建物の中に壊しづらい建材が使われていたり、平屋で解体する面積が大きかったりすれば費用が上がってしまいます。

付随工事の有無

家の解体以外の作業(アスベスト除去、井戸の解体など)には、別途費用が発生します。

そのため、都心の築年数が浅い家よりも、地方の古い家の方が最終的にかかる解体費用が高額となるケースもあります。

解体業者

解体を行う業者によっても費用は大きく変わります。

費用が安すぎると違法な解体を行っている可能性があり、また、高すぎると水増し請求の可能性も否めません。相場や見積書の内容を踏まえた検討が大切です。

家の解体工事費用が高額になる要因

以上のように、家の解体にはさまざまな費用がかかり、さらにその費用は建物の状況によっても大きく変動します。これらを踏まえて、解体費用が高額となる要因を具体的に見ていきます。

解体時に特別な配慮が必要な立地である

建物同士の間隔が狭い、細い道路と面しており重機が入れない、僻地にあるなどの理由以外にも解体が難しい立地は存在します。

例えば、騒音規制の厳しい地域では、それだけ防音に配慮して作業を進めなければいけません。商店街のように人通りの多い場所では、作業時間が取れないこともあります。

また、景観維持に力を入れている地域では所定の窓口に、解体作業の内容や、事後土地の使用方法を義務づけているケースもあります。

建物にアスベストを含んでいる

本格的にアスベストの利用が規制されたのは、2006年のことです。

そのため、2006年以前に建てられた家では少量でもアスベストが使用されている可能性があります。

また、1975年以前の建物の場合、アスベスト利用に関する規制が無かったため、解体の際は、アスベスト除去費用が発生する恐れもあります。

国土交通省の発表しているアスベスト除去費用の相場は下記のとおりです。[注1]

  • 300㎡未満:20,000~60,000円/㎡
  • 300~1,000㎡:15,000~40,000円/㎡
  • 1,000㎡以上:10,000~25,000円/㎡

そのため、30坪の家では2,000,000~6,000,000円程度、解体費とは別に費用が発生する可能性があります。

[注1]国土交通省:アスベスト対策Q&A

2階建てではなく平屋である

家の解体では、一般的に2階建てよりも平屋の方が費用は高額になります。理由としては、建物本体の解体費用よりも、基礎や屋根などの解体費用の方が高額となるためです。

地下室がある

地下室がある場合、解体や廃棄物処理の費用以外に、地下室の埋め戻し作業が発生するため費用が高額となります。

地下室の深さ・広さ、地盤の強度などによっても費用が変動するため、基礎図面を見せて見積を出してもらうようにしましょう。

庭がある

また、庭などがある場合も追加費用が発生し高額となります。

かかりやすい費用は下記のとおりです。

  • 3m以内の庭木の伐採は1本10,000円前後(大木の場合さらに高額)
  • 井戸の埋め戻しは30,000~50,000円程度(お祓いも行う場合は追加で30,000円程度必要)
  • ブロック塀の解体は1㎡あたり5,000~10,000円程度

そのため、日本庭園のある家などは注意が必要です。

地中埋設物が見つかる

解体作業の途中で、古井戸や浄化槽、産業廃棄物などが見つかれば、別途除去費用が必要となります。

特に、瓦礫などの産業廃棄物は、以前工事した業者が残していくケースもあり、埋設物の中では多いものです。

これらの除去費用は事前に判断ができないものの、10,000~40,000円程度、追加でかかってしまうケースもあります。

解体しづらい時期に依頼した

屋外で行う解体作業は、進捗が天候に大きく左右されます。

一般的に下記の時期では工期が延長されることも多く、その分解体費用があがってしまいます。

  • 台風が多い時期
  • 真夏日が続く時期
  • 雪の降る時期

なお、雨の多い梅雨時期に関しては、解体を行うか否かは業者により異なります。とはいえ、雨の降る現場は足場が悪く、工事が中止になることも多いです。

家の解体費用を安く抑えるポイント

家の解体費用を抑えるためには、室内や屋外など、片付けられる物は事前に処分する、繁忙期を避けて解体を依頼するなどがポイントです。また、自治体に使える助成金があれば活用しましょう。

不用品は事前に処分しておく

室内の不用品は処分してから解体を依頼しましょう。

廃材などの産業廃棄物と、家庭から出る一般廃棄物は処理に必要な許可が異なるため、解体業者に依頼すると高額となるケースが多いためです。

もし、室内の物が多い場合は、不用品回収業者などに依頼し、買い取りできるものは買い取ってもらえば費用も浮かせられるでしょう。

屋外の雑草はあらかじめ刈り取っておく、切れそうな木は伐採するのも方法の1つです。また、造園業者によっては庭木の買い取りを行っているケースもあるため、調べてみてもよいでしょう。

解体工事がしやすい時期に依頼する

解体工事が滞りなく進む時期に依頼をするのもポイントです。

雪の降る地域:4月~11月

台風の多い地域:11月~5月

など、家のある地域により作業しやすい時期は変わります。遠方の家を解体する際などは事前に確認しましょう。

業者を選ぶ際は複数社に見積を取る

解体業者によっても、得意とする作業は異なります。そのため、複数の業者に見積を取り検討しましょう。

その際、低価格かどうかだけでなく、見積書に作業の詳細は書かれているか、作業内容を説明しているかも確認し、誠実な対応をしてくれる業者を選びましょう。

助成金を利用する

自治体によっては、家の解体に助成金を支給していることがあります。詳細は後述しますが、解体する前に、家のある地域の助成金を調べ、条件や申請方法を確認しましょう。

家の解体ではローンも利用できる

以上のように、ある程度費用を抑えたとしても、一軒家の解体ではまとまった金額が必要になります。

そのため、多くの地方銀行や信用金庫、農協などでは空き家解体ローンを導入しています。金利も低く抑えられていることが多いため、これらのローンも利用してみましょう。

家の解体で使える補助金を解説

家の解体で利用できる補助金は、国ではなく、各自治体に申請が必要です。

ここでは家の解体時に申請できる代表的な補助金を解説します。

なお、自治体により名称が異なる他、補助金を支給していなかったり、申請要件が定められていたりするため、必ず各市区町村の窓口に問い合わせの上、詳細を確認しましょう。

危険老朽空き家等解体補助金

老朽空き家等解体補助金や老朽建築物等除却費助成金などの名称で、多くの自治体で導入されている助成金です。

放置空き家の把握や適切な管理を目的に、2014年11月施行された空家等対策特別措置法が指定する特定空家等に該当する場合、支給されることが多いです。

特定空家等に該当するのは、以下のような空き家です。

  • 倒壊など安全上の危険がある
  • 衛生上有害である
  • 景観を損なっている
  • 周辺の生活環境を保つために、放置することが不適切である

つまり、状態が著しく悪い空き家は特定空家等として見なされる可能性があるのです。

また、自治体によっては「昭和56年以前に建築又は築造された建物」など、築年数を基準としているケースもあります。

これらに該当する家の解体では解体費用の5分の1~2分の1程度の助成金を受けられる場合があります。また、上限は200,000~500,000円程度です。

申請条件としては、市税を滞納していないことが挙げられます。

[参考]神戸市:老朽空家等解体補助制度の申請受付(2022.2.22)

都市景観形成地域 老朽空き家解体補助金

歴史的建造物や地域特有の自然が残るなど、その町らしい景観を作っている「都市景観形成地域」にある空き家の解体時に申請できる助成金です。

都市景観形成地域内にある空き家の解体に限定しており、さらに、空き家解体後の土地の活用方法を定めることが条件となっているケースもあります。

事前審査や業者の選定など、申請条件が細かく定められていることが多いため、該当する地域に空き家がある際は解体前に自治体に相談しましょう。

補助は解体費用の5分の1~2分の1程度(上限は200,000~500,000円程度)です。

[参考]北海道陸別町:陸別町景観形成事業(2022.2.22)

アスベスト調査・除去の助成金

アスベストの含有調査に対する助成金や、アスベスト除去工事に対する助成金を導入している地域もあります。

ただし、吹付け材の調査や除去に限る場合が多いです。

調査では上限100,000円程度、除去工事では費用の3分の2~2分の1程度(上限は500,000~3,000,000円程度)の助成が受けられます。アスベストの除去が必要になったときは、各自治体の制度を確認してみましょう。

その他の助成金

家の解体だけでなく、下記のように危険性の高いブロック塀の除去や、解体後の住み替えに対し助成金を支給している地域もあります。

  • ブロック塀等の除去
  • 空き家・空き店舗新築リフォーム補助金
  • 住替え支援事業

特に、高さが80cm以上、倒壊の危険があるブロック塀の除去に対する助成金は複数の地域で導入されているため、解体の際は確認してみましょう。

[参考]川崎市:民間建築物吹付けアスベスト対策事業(補助金制度)(2022.2.22)

家を解体するときの流れを解説!

家を解体するときの流れは大きく分けると、下記の工程に分類されます。

  • 業者選定
  • 解体準備
  • 解体工事
  • 廃材処理
  • 整地
  • 作業完了の確認

状況にもよるものの、全ての工程が終わるまで1~2ヵ月程度はかかるため、余裕をもった準備が必要です。それぞれの手順を解説します。

業者選定

業者に見積を取る前に下記の準備をしておくと、スムーズに進められます。

  • 解体する建物の情報をまとめる
  • 室内の不用品を撤去する
  • 助成金の有無を調べ、申請方法を確認する

特に、業者に見積を取る際は、間取り図など、解体する建物の状況が理解できる資料があると、より正確な金額を出しやすくなります。

また、助成金によっては業者を指定していることもあるため、依頼前に確認しましょう。

特に指定がないときは、複数社に見積を取り、どの業者にするか決定します。

解体準備

業者が決定したら、立ち合い検査を行い具体的な作業内容、日時、金額などを決定します。

解体準備時に依頼主(施主)が行うことは、以下のようなことです。

  • 解体する家のインフラを停止する
  • 近隣に挨拶まわりをする

また、挨拶については解体業者が行うことも多いですが、後のトラブルをなるべく防ぐためにも、可能であれば施主も同行するようにしましょう。

以降の解体工事から整地までは、施主の行うことは特にありません。

解体工事

家の解体作業では、内装解体、養生・足場の組み立て、重機解体の順で進んでいきます。(順序は前後する場合もあります。)

屋根や柱を解体し、廃材なども撤去した後に基礎を除去するのが一般的です。

ここで悪天候が続いたり、埋設物が見つかったりすれば工期が伸びることがあります。

廃材処理

解体工事で出た廃材は材木や鉄、プラスチックなどに分別し処理します。細かな分別が必要なため、手作業で行うことも多くあります。

廃材の中でもリサイクルできるものは再生資源として活用されます。

整地

解体・基礎の除去・廃材処理が終われば、重機で地面をならし整地し、解体作業は完了します。

作業完了の確認

解体作業が完了したら、施主は現場の確認や代金の清算を行います。また、解体工事が1ヵ月以上かかったときは、近隣に完了の挨拶をした方が無難です。

解体後の土地を利用せず、更地のままにしておく場合は法務局で「建物滅失登記」が必要です。

家を解体するメリット

家を解体するには手間もコストもかかりますが、解体することで売却しやすくなる、土地を活用しやすくなるなどのメリットが生まれます。

管理が容易になる

空き家の場合、解体すれば維持や管理にかかるコストを削減できます。

特に、定期的に清掃や通水を行っているなら、空き家がある場所まで移動が必要だったり、維持管理費を支払ったりする必要もあります。さらに、固定資産税や都市計画税などの税金もかかり続けます。

そのため、もう利用する見込みがない家の場合、早めに解体してしまったほうが手間もコストも削減できる可能性もあります。

土地が売りやすくなる

土地を売却するとき、家屋が新しく資産価値が認められるなら、その分を上乗せして販売できます。

しかし、築30年以上経過しているなど、資産価値のない家屋の場合、土地の価格のみでしか売却できないことも多くあります。

それどころか、買い手の多くは家屋の解体を自分で負担しようとは思わないため、現実的には解体費用1,000,000~3,000,000円を差し引いた価格が土地の売却価格となります。

そのため、古家付きの土地の場合、家を解体してから売却した方が、値下げ交渉をされないだけでなく、解体の手間を減らせるため、買い手が付きやすくなる可能性があります。

また、建物や土地に問題があったときに問われる“契約不適合責任”の可能性を抑えられる点もメリットです。

土地を有効活用できる

家のある場所によっては、更地にして売却する、新居を建てる以外に、有効活用し利益を得られる可能性もあります。

具体的には

  • コインパーキング
  • 月極駐車場
  • コインランドリー
  • レンタル物置
  • 貸農園
  • 太陽光発電
  • 賃貸不動産
  • 事業用に貸し出す

などが考えられます。

もちろん、立地や法令などにより活用できる方法は異なるものの、更地になればそれだけ活用の幅は広がります。

家を解体する注意点やデメリット

家を解体し更地のまま保有すると、税金が高額になってしまいます。また、古くても、家の状況によっては解体しない方が高く売れる可能性もあるため注意しましょう。

更地のまま所持すると税金が高額になる

土地の上に家が建っているときは、「住宅用土地特例」により下記の減税が受けられます。

固定資産税:6分の1

都市計画税:3分の1

しかし、家を壊してしまうと減税を受けられなくなります。結果、土地と家の税額を合わせるよりも、土地だけの方が支払う税金は増えてしまいます。

そのため、解体する際は解体後の税金と現在の維持コストを比べる、解体後の用途を決定するなどしたほうがよいでしょう。

再建築不可物件は解体しても新たに建物を建てられない

再建築不可とは、更地にしても新たに建物を建てることができない物件や土地のことです。

建築基準法では、「幅員4m以上の道路に2m以上設置」していないと建物を建てることができない“接道義務”があります。

具体的には、以下のような家が該当します。

  • 道路に接していない家
  • 道路に接しているが道路までの道幅が2m未満の家
  • 建築基準法の道路(幅員4m以上)に接していない家

このような家を取り壊すと、更地に新たに家を建てることはできません。

農園や物置にして貸し出すなど、利用方法が限られてしまうため注意しましょう。

[参考]岡山市:家が建っている土地と更地では固定資産税が異なりますか?(2022.2.22)

建物滅失登記が必要

建物を取り壊したときは、登記簿登録に建物が無くなったことを登録する「消失登録」が必要です。

消失登録は、消失の日から1カ月以内に行わなければいけません。手続き場所は家を管轄する法務局です。

手続きの際は、下記の書類が必要です。

  • 建物滅失登記申請書
  • 建物取毀証明書
  • 解体業者の印鑑証明書
  • 建物があった場所の住宅地図 など

詳細については、法務局の窓口に確認しましょう。

なお、手続きを怠った場合、100,000円以下の罰金が課される恐れもあるため速やかに手続きしておくことをおすすめします。

古い家でも解体しない方が高値で売却できるケースもある

古い家でも状態によっては解体しない方が高値で売却できるケースもあります。特に古民家のように日本の伝統的工法で建てられた家は、一定の人気があります。取り壊す前に、知識がある不動産業者などに査定を依頼してもよいでしょう。

空き家の放置はリスクが大きいため注意

使用していない空き家を長年放置すれば、老朽化が進み、犯罪に使われたり、野生動物の住みかになったり、さまざまなリスクが発生します。

家の解体では、税金以外に、これらのリスクも踏まえた上で、早めに対処方法を検討しましょう。

不法侵入・不法投棄・放火の恐れ

使われていない空き家は、不法投棄や不法侵入など、犯罪に利用される可能性があります。もし、ゴミを不法投棄され犯人がみつからなければ、その空き家の所有者に責任が生じてしまいます。

また、放火は可燃物が多く、人通りの少ない場所がターゲットとなります。

ゴミの多い空き家は恰好の餌食となると考えておきましょう。

放火や自然発火などでは、基本的に空き家の所有者が責任を問われることはありません。しかし、近隣に被害が出れば社会的責任は問われるでしょう。

害虫・害獣の住みかとなる恐れ

雨風をしのげる空き家は、犯罪に利用されるだけでなく、害獣や害虫の住みかにもなります。代表的な生き物では、ゴキブリ・シロアリ・ハエ・ハチ・ネズミなどです。

また、外来生物のハクビシンや、特定外来生物のアライグマなどは、個人では捕獲できないため、市区町村の窓口などに相談が必要です。

多種多様な生物が住みつけば、解体の際、これらの生き物が一斉に逃げ出すこととなります。そうならないためにも、事前に害虫・害虫駆除が必要になるなど、解体にかかる手間が増える結果となります。

損害賠償責任の恐れ

空き家が老朽化すれば、下記のような危険性が生じます。

  • 屋根の落下
  • 壁・塀の倒壊
  • 積雪・台風による建物の崩壊
  • 朽ち木の倒木
  • 窓ガラスの飛散

これらにより人や物を傷つけると、空き家の所有者に責任が生じます。これを工作物責任といい、民法717条により定められています。

空き家の場合、火災保険への加入が認められないため、高額の損害賠償責任が生じる可能性も否めません。

罰金や行政代執行の可能性も

2014年11月に公布された「空家等対策特別措置法」により、空き家の適正管理が強化されました。行政は空き家を調査し、問題のある空き家は「特定空家」に指定できる他、所有者に対して適正管理を求めることができます。

助言→指導→勧告→命令の順に効力が強く、命令に従わない所有者には行政代執行が行われます。

特定空家指定後に勧告を受ければ、状態が改善されるまで住宅用地の減税が解除されるため、6倍の固定資産税を払わなければいけません。

また、改善命令に背いた場合は、500,000円以下の罰金が課される恐れがあります。

命令にも従わない場合、行政が所有者に代わり家の解体などを行う行政代執行の可能性もあります。

なお、行政代執行は強制執行のため、空き家の所有者といえども拒否できません。また、行政代執行の場合、解体工事費用は自分で行うよりも高額になることが多く、さらに、かかった費用は全て所有者に請求されます。

支払えない分は、税金の滞納と同等の扱いとなるため、家財などが差し押さえられるケースもあります。

[参考]NPO法人 空家・空地管理センター:空家等対策特別措置法とは(2022.2.22)

不要になった家は早めに適切な方法で処分しよう

不要になった家を放置すれば、老朽化が進み、近隣トラブルの原因にもなってしまいます。そのため、維持・管理が難しいなら、解体や売却を早めに検討しましょう。

また、家の解体では追加工事が多ければそれだけ費用もかかってしまいます。使っていない物置や駐車場、庭などは先に処理しておけば、後々の負担を減らすことにもつながります。

島根県、鳥取県の解体堂は、解体、墓じまい、外構エクステリア・リフォーム、土地活用の各種サービスにおける許可・免許を取得した正規の解体業者です。松江市で解体を考えている方はお気軽にお問い合わせください。