解体工事にかかる費用を計算する際に参考にする単価表ですが、その「単価」とは何を指しているかご存知でしょうか。

解体工事の単価表にある価格はあくまでも目安であり、解体工事の内容にそれぞれ違いがあるように、実際にかかる費用も工事の内容によってその都度異なります。そのため、単価表の価格だけを参考にして解体費用を試算すると、実際に業者から見積もりを取った際に想定外の費用がかかり驚くことも。

そんな事態を避けるためにも、今回は、解体工事の単価について詳しく解説するとともに、解体工事の費用を抑えるためのポイントなども紹介します。

解体工事の「単価」は1坪あたりの解体費用のこと

解体工事で単価表に記載される「単価」とは1坪(約3.3㎡)あたりにかかる解体費用のことを指し、建物全体の解体費用を算出する際には「坪単価×延床面積(坪数)」という式を使います。

この式は建物を一棟丸ごと解体する時はもちろんのこと、リノベーションを行う前の内装解体や店舗などの原状回復工事でも使用されます。

ただし、この計算式で算出される建物全体の解体費用は、解体工事費用の総額とは異なるため注意が必要です。

延床面積は各階の床面積のこと

解体費用を算出する際に使用する「延床面積」とは、その建物のそれぞれの階の床面積を合計した面積のことで、延床面積にバルコニーやロフト、吹き抜けなどは含まれません。

例えば2階建ての建物の1階の床面積が30坪で、2階の床面積の床面積が20坪であれば、その建物の延床面積は50坪ということになります。なお、正確な建物の延床面積については登記簿謄本に記載されています。

解体工事の坪単価は変動する

解体工事の坪単価の目安は約4万円程度ですが、この価格はこれから紹介する条件によって変動します。それではそれぞれの条件について詳しく見てみましょう。

条件1. 建物の構造

解体工事の坪単価は、次の表からもおわかりのとおり建物の構造によって価格が異なります。考え方としては建物を解体する手間がかかるほど、つまり建物の構造が丈夫であるほど価格が高くなる傾向があります。

構造

木造

鉄骨造

RC造

坪単価

2.5~6.5万円

3~7万円

3.5~8万円

同じ構造であっても価格に差があるのは、これから紹介する条件がさらに加わるためです。

条件2. 築年数

日本の建築基準法は1950年に制定され、その後耐震基準は1971年、1981年、2000年に大きな改正が行われています。こういった背景もあり、一般的に築年数の浅い建物ほど頑丈に造られているため、解体をする際にも手間がかかる傾向があります。すなわち築年数の浅い建物の解体ほど、解体工事の坪単価は高くなる傾向があるというわけです。

しかし、築年数が古ければ古いほど解体工事の坪単価が低くなるかといえばそうでもありません。築年数が古いが故に建物の老朽化が進み、倒壊の危険性がある場合は慎重に解体工事を行う必要があり、かえって費用がかかることもあるのです。

なお、リフォームで耐震補強などをしている場合も解体に時間がかかったり特別な重機が必要になる可能性があるため、業者にはあらかじめ伝えておく必要があります。

条件3. 地域

都市部ほど不動産価格が高くなる傾向があるように、解体工事の坪単価についても住宅密集地や商業地域があるエリアから近いほど価格が高くなる傾向にあります。これは、解体工事後に出る産業廃棄物の処分場の距離と関係しており、処分場までの距離が遠くなるほど運搬費や人件費が多くかかるためです。また、都市部の商業地など人通りの多い場所で解体工事を行う場合は、道路にガードマンを配置することもあります。

Webサイトなどで解体業者の工事例を見て「うちも似たような価格で依頼できそう」と思うことがあるかもしれません。しかし、そもそも現場の地域が違っていたり、業者がその都道府県での解体工事業登録や建設業許可を受けておらず発注できない可能性もあるため、業者を検討する際は注意が必要です。

条件4. 前面道路の状態

解体工事の坪単価は、工事をしようとする建物がある敷地の前面道路の広さによっても価格が大きく変わってきます。なぜなら、重機や大型トラックが入れない場合、解体作業や運搬作業に手間と人手が必要になるためです。また、車は入ることができても交通整理が必要な場合もあります。

一般的な目安としては、道幅は4m以上、普通自動車がすれ違えるくらいの余裕がなければ重機の搬入や駐車は難しいとされています。また、このような場合、重機が搬入できるスペースを作るために先に手作業で建物を壊すこと、いわゆる「手壊し解体」をすることがあり、その場合も作業員を多く必要とし、その分の費用が発生します。

条件5.  高低差

解体工事をする建物がある敷地と前面道路との間に高低差がある場合は、通常の解体工事よりも人員が必要になったり、作業工程が長くなることがあります。また、工事車両が敷地内に入れないため前面道路に工事車両を長時間停車することになり、その間にガードマンを配置するようなケースもあります。

前面道路に十分な広さがあっても、解体工事をする建物がある敷地の位置次第では解体工事の坪単価も高くなることがあるため、周囲と高低差のある土地に建物がある場合は注意が必要です。

条件6. 地中埋設物

地中埋設物とは建物の下に埋まっている廃棄物などのことで、例としては建築材料や建物の基礎や杭、井戸、岩石などが挙げられます。そして、これらの地中埋設物は工事前の段階では分からず、工事の途中に発見されることがほとんどです。

地中埋設物が見つかっても「それまで埋まっていたのであればそのまま埋めておけば良いのでは?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、基本的には放置しておくとやがて地盤沈下などを引き起こすこともあるため、地中埋設物はきちんと撤去することが良いとされています。

また、地中埋設物が見つかったにも関わらずそのまま土をかけ放置しておくと、その後新しい土地の所有者により地中埋設物が見つかった場合に訴訟問題へと発展することもあります。

そのため、事前に解体工事の坪単価に含めることはできませんが、解体業者には工事の途中で地中埋設物が見つかった場合の対応や費用についてわかる範囲で確認しておくと良いでしょう。

条件7. 養生の有無

解体工事をする際、周囲の建物などが傷ついたり汚れたりすることを避けるために養生をすることがありますが、一般的に養生をするためには隣の建物との間に30cm以上のスペースが必要です。

もし30cm以上のスペースがない場合は「手壊し解体」をすることとなるため、解体工事の坪単価もその分高くなる傾向があります。目安としては隣の建物との間のスペースが1m以下の場合は坪単価も高くなると考えておきましょう。

坪単価以外の付帯工事費用がある

ここまで解体工事の坪単価について解説してきましたが、解体工事にかかる費用にはあらかじめ坪単価に含むことが難しいものもあります。これらは基本的に解体工事を行う予定の建物とは別の部分で発生する費用となり、「付帯工事」や「追加工事」と呼ばれます。

解体工事費用の総額は、最初にお伝えした建物全体の解体費用「坪単価×延床面積(坪数)」に、この付帯工事費用を合わせることで算出できます。

ただし、付帯工事費用についてはその現場の状況などによって大きく異なるため、坪単価のように相場の目安があるわけではありません。そのため、余裕を持って数十万程度の費用が発生するかもしれないと考えておくと安心でしょう。

では、この付帯工事費用とは具体的にどのようなものを差すのか詳しく見ていきましょう。

塀や門扉などの撤去費用

塀やフェンス、門扉などの撤去費用は坪単価には含まれず、付帯工事費用となります。塀が敷地全体を囲っている場合は重機などが入れる分だけ壊すことも可能ですが、一部を壊してしまうと全体の強度にも影響してくるため、壊すのであれば全て壊して撤去してしまうことをおすすめします。また、門扉に関しても塀を壊すのであれば撤去することが一般的です。

産業廃棄物の処理費用

産業廃棄物の処理費用についても付帯工事費用になり、処理費用だけではなく、場所や地域によって決められている産業廃棄物処理場までの運搬費用なども発生します。家電リサイクル法の対象となる家電についても別途費用が発生します。

樹木の伐採・伐根・処分費用

敷地内の樹木の伐採や伐根、さらにそれらの処分費用についても付帯工事費用となることが一般的です。樹木については本数だけではなく大きさもさまざまですので、可能であれば見積もりの際に敷地内の写真を業者に見てもらうと良いでしょう。

役所への届け出費用

家電リサイクル法の届け出にかかる費用や道路使用許可の届け出にかかる費用も坪単価に含まれていないことが少なくありません。解体業者によって費用は異なりますが、5万円程度を見ておくと安心でしょう。

重機手配の費用

建物の解体工事では重機を使うことがほとんどですが、その重機を手配して現場に運び込む費用が別途発生することがあります。最初から坪単価に含まれているかどうか確認をしておきましょう。

整地費用

建物がある敷地を更地にするためには、解体工事が終わったあと、凸凹になった地面を重機で平にならす必要があります。この整地費用については坪単価に含まれず、付帯工事費用となります。場合によっては地中埋設物がないか調べたり、敷地内の樹木の伐採や伐根などが加わり費用が高くなることもあります。

その他の諸費用

最後に、その他の諸費用です。ここには近隣への挨拶の際にかかる粗品の購入費や事務管理費、営業経費、工事車両の駐車費用などが含まれることが多いでしょう。見積もりの際に疑問に思った費用についてはきちんと質問し、坪単価に含まれていないのかどうかを確認しましょう。

解体工事の費用を抑える5つのポイント

解体工事の費用は解体業者によって異なるものの、自身で対応することで抑えることが可能なケースもあり、場合によっては10万円単位の節約になることもあります。解体業者に見積もりや依頼をする前に、自身でもできることはないかチェックしてみましょう。

不用品を処分しておく

解体工事の際には、残置物、つまり建物内に不用品が残っている場合が多く、この不用品を処分するための費用が付帯工事費用として別途発生します。

そして、個人が不用品を処分する場合は「一般廃棄物」となりますが、同じ不用品でも解体業者が処分をする場合は「産業廃棄物」となります。

一般廃棄物はいわゆる「一般ごみ」ですので、大型ごみなどでなければ通常のごみの日に回収してもらうことが可能です。これに対し、産業廃棄物は決められた処理場で解体業者が費用を払って処分をしなければならず、建物の解体の際に出るがれきと一緒に処分することはできません。

さらに近年、産業廃棄物の処分場は受け入れ金額が上昇傾向にあり、4トントラック1台分で10万円前後という相場になっています。

そのため、自身であらかじめ不用品を減らしておくことにより、その分の残置物処理費用を抑えることができるのです。もちろん小さなゴミを少し処分しただけで金額が変わるわけではありませんが、ゴミ袋に何十袋という単位になってくると差が生じてきます。

工事の日程まで時間に余裕があるのであれば、不用品は一般ごみや大型ごみとして処分しておくことをおすすめします。

敷地部分を整える

先に紹介したとおり、樹木の伐採や伐根、処分は建物の解体工事費用とは別に費用がかかり、雑草で生い茂っているような場合は草を刈る費用や刈った草の処分にも費用がかかります。大きな樹木の伐採や伐根は個人では難しいかもしれませんが、雑草や低木などであれば個人で整えることも可能です。できる範囲で敷地部分を整えておくと良いでしょう。

補助金や助成金を利用する

近年、メディアなどでも長年放置された空き家の問題などが取り沙汰されていますが、このような問題をなくすため、全国の自治体で解体工事に関する補助金や助成金の制度を設ける動きが高まっています。

しかし、このような制度を知らずに自費のみで解体工事を行っているという人も少なくないという現状もあります。

まずは解体工事を行う予定の建物がある自治体にそのような制度があるのか、さらに制度がある場合にはどのような条件が該当するのかを確認しておきましょう。

各種手続きを自分で行う

解体工事を行う際には各自治体などにすべき届け出や申請がいくつかあります。そして、このような届け出や申請を解体業者に任せるのではなく、自分で行うことで費用を抑えることができる場合があります。

道路使用許可申請書、建設リサイクル法の事前申請、解体工事後に行う建物滅失登記の申請などは代表的なものになりますので、解体業者に自分で手続きをすることが可能か、その場合費用は抑えることができるのかといったことを確認してみましょう。

相見積もりをとる

解体工事の費用は解体業者によってその金額が大きく異なるということも少なくありません。というのも、施工方法や、重機を自社で保有しているのか、廃棄物処理を自社で行っているのか、利益率をどのように設定しているのかなど、条件が解体業者によってさまざまだからです。また、その解体業者が得意としている工事かどうかによっても大きな差が出てくるため、相見積もりは必ずとるようにしましょう。

なお、見積もりや現地調査については無料というケースが多いですが、調査内容によっては追加料金が発生することもあるため、見積もりや現地調査に料金がかかるかどうかはまず最初に確認をしておきましょう。

正しい知識と相見積もりで無駄のない解体工事を

ここまで解体工事の単価について解説してきましたが、解体工事にはさまざまなケースがあるため、個人が正確に実際の解体工事の総額を出すことは容易なことではありません。しかし、今回紹介したような費用の内訳や費用を抑えるポイントを知っておくことで、実際に見積もりが出た際に、何にどれくらいの費用がかかっているのかをチェックすることが可能になります。

解体の専門業者である解体堂松江店は解体の専門業者ですので元請け業者によるマージンなどが発生せず、コストを抑えた解体工事が可能です。また、島根県、鳥取県の解体堂では明瞭な料金設定に加え、見積もりは可能な限り書面で提示し、各費用についても細かく説明を行っています。

電話での即日見積もりにも対応しておりますので、島根県、鳥取県で解体工事をご検討なら、ぜひ一度「解体堂」までお気軽にお問い合わせください