「家の解体工事をしたいけれど、どうしたらいいのかわからない」

「着工前に家の解体工事の手順を知っておきたい」

上記のように、住宅の解体についてお悩みではありませんか。家の解体工事をする機会はなかなかないので、依頼先や進める手順がわからない人が多いのは無理もありません。

この記事では、家の解体工事の手順や流れについて解説します。工事の際は、依頼前から依頼後までやらなければいけないことが盛りだくさんなので、この記事でスムーズに解体を行う準備を進めましょう。

家の解体工事の大まかな流れ

家の解体工事はおもに以下の4つの段階に分けることが可能で、それぞれの段階で行っておきたい手続きや準備が異なります。

  1. 家の解体を業者に依頼するまでの下準備
  2. 業者に依頼してから着工するまでの準備
  3. 業者による家の解体
  4. 解体後の手続き

工事開始までに1~2カ月、工事は1週間から1カ月前後かかるので、すべて終えるまでに3カ月程度の期間を要するとイメージしておきましょう。この日までに解体工事を終わらせたいという要望がある場合は、余裕をもって早めに着手することをおすすめします。

家の解体工事を依頼するときの手順

工事の依頼前は、家や土地の調査や信頼できる業者選びをする必要があります。それでは、さっそく家の解体工事を依頼するときの手順についてみてみましょう。

解体前の下調べをする

家の解体を業者に依頼するときは、建物や土地についての情報が必要になります。正確な調査は現地見積りの際にも行われますが、あらかじめ情報をまとめておくと、スムーズに問い合わせができるようになります。

この時点で調べておきたいのは、以下のような情報です。

  • 住所
  • 建物の構造
  • 建物の階数
  • 建物の広さ
  • 敷地面積
  • 建物周辺の環境
  • 有害物質の有無
  • 建物以外に処分したいものの有無 など

そのほか、問い合わせ時に質問される可能性があるため、建物や土地の情報が載っている登記簿や重要事項説明書を手元に用意しておくと安心です。

解体業者を探す

次に、解体工事を依頼する業者を探します。業者や物件の状態によって異なりますが、解体工事には1,000,000円以上の高額な費用がかかるケースが多いです。そのため、慎重に業者を選ぶことをおすすめします。

解体業者を探すときは、以下のような方法を活用できます。

  • インターネットで検索する
  • 一括見積サイトを活用する
  • 市役所などに紹介してもらう
  • 知り合いに紹介してもらう

どのような方法で探すにせよ、複数の業者に問い合わせて見積りを出してもらいましょう。条件や対応をしっかりと比較し、信頼できる業者を見極めることが大切です。

現地調査で見積りを出してもらい契約する

解体業者から正確な見積もりをもらうためには、実際に現地を見せる必要があります。業者に来てもらい、建物の状況や工事の内容、工事に必要な作業人数などをもとに解体費用を算出してもらいましょう。

手間はかかりますが、現地調査と見積りは最低3社以上の業者に依頼することをおすすめします。料金が高すぎる業者はもちろん、安すぎる業者にも注意しましょう。あとから多額の追加料金を請求されるおそれがあります。

適正価格で納得のいく見積りを出してくれる業者があれば、そこと契約を締結してください。

家の解体工事に着工する前の準備

家の解体工事を依頼する業者が決まったら、着工前の準備を進めます。施主が行わなくてはいけないものもあるので、しっかりとチェックしておきましょう。

着工前の申請を行う

たとえ自分の土地でも、建物を勝手に解体することはできません。着工する前は、必ず申請手続きをしておきましょう。

解体工事で必要になる申請の一例は、以下のとおりです。[注1]

  • 建設リサイクル法に関する届出
  • 道路使用許可申請
  • 特定建設作業開始の届け出
  • 再資源化等実施状況報告書の申請
  • アスベスト除去の届出
  • 建築物除去届

[注1]解体工事業登録関係 手引、申請書類 | 東京都都市整備局

工事の内容によって必要な申請は異なります。ほとんどの場合、解体業者が手続きを代行してくれるため、施主が自分で申請をするケースは稀です。もしも業者に手続きを指示されたら、どのような届出が必要なのか詳しく説明してもらいきましょう。

近隣住民にあいさつしておく

家の解体工事をするときは、騒音や作業者の駐車などで近隣住民に迷惑を掛けることが多くなります。トラブルを防ぐためにも、着工前にあいさつを済ませて理解や協力を得ることが大切です。

ご近所へのあいさつは業者が主導するケースも多いですが、施主が一緒に回ると印象が良くなります。可能であれば、業者と施主がそろってあいさつ回りに行くことをおすすめします。

ライフラインや荷物の撤去

工事が開始される前に、しっかりとライフラインや荷物の撤去を済ませておきましょう。

電気や水道、インターネットなどのライフライン関連は、家を解体する際に設備の処分も行われます。必ず解体前に各業者に電話して、解約日を決めてください。ただし、水道は解体時に作業員が使用することもあるため、念のため業者に解約日を確認しておくと安心です。

また、家の中にある家具や家電なども事前に撤去しておきましょう。解体業者に処分を依頼することも可能ですが、追加で処分料がかかってしまったり工期が伸びたりするおそれがあるため、自分で行ったほうがスムーズです。

家の解体工事の手順や流れ

ここまでの事前準備が済んだら、いよいよ解体工事に入ります。工事はすべて業者が行うため、施主が手伝うことはありません。安心して作業を任せられるように、具体的な解体工事の手順や流れをみておきましょう。

足場や防音パネルなどの設置

まずは、建物周辺に養生や足場、防音パネルなどを必要に応じて設置します。近隣住民に迷惑をかけずに解体工事を行うために欠かせない作業なので、しっかりと養生や防音パネルが設置されているか確認しておくと安心です。

瓦の撤去

家の解体は、一般的に屋根から着手していきます。はじめに、瓦を1枚1枚手作業で剥がして撤去します。

屋根の材質によってはアスベストが含まれているものもあるため、基本的には手作業で作業を進めることが多いです。撤去した屋根は材質ごとに分別し、それぞれ適切に処分します。

設備や内装材の撤去

屋根の撤去が終わったら、設備や内装の撤去を進めます。こちらも分別して処分する必要があるため、石膏ボードや断熱材、窓ガラスなどを一つひとつ手作業で撤去します。

とくに石膏ボードや断熱材は、破損すると粉塵が飛散して健康被害を引き起こすおそれがあるため注意が必要です。解体業者の人は、細心の注意をはらいながら作業を進めます。

重機を用いた解体

手作業による作業が終わったら、重機や手作業で柱や梁の撤去を行います。ここまでの作業には多くの日数がかかりますが、重機による解体は3~5日程度で終わります。

建物の解体だけではなく、地中にある基礎部分の解体も必要です。この際、重機で解体したコンクリートなどをトラックで搬出しつつ、地中に廃材や浄化槽などが埋まっていないかについても確認します。

機械を使った解体は騒音や粉塵が発生しやすいため、とくに近隣住民への配慮が必要な期間です。

ガラの撤去・整地

重機による作業のあとは、細かいガラの撤去を行いつつ荒れた敷地を重機で整地します。ここまで済めば解体工事はほぼ終了となるため、足場や養生などもすべて撤去されます。

清掃・重機搬出

最後の仕上げとして、敷地や周辺の道路などを清掃します。清掃の際に水道が使用されることがあるため、このタイミングまで水道を解約しないように指示されるケースが多い傾向にあります。

重機や廃棄物を搬出してきれいな状態になったら、解体工事は終了です。

家の解体工事が終わったあとの手続き手順

解体工事が終わったら、最後に近隣住民へのあいさつや申請を行います。ここまで来たらあと少しですべての工程が終了するので、もうひと踏ん張りしましょう。

近隣住民への報告

工事終了後は再度近隣住民へあいさつに行き、迷惑をかけたことへのお詫びや協力への感謝を伝えます。クレームやトラブルを防ぐためにも、あいさつは早めにしておきましょう。

時間が経ってからクレームを入れられた場合、解体業者が対応してくれないことがあります。事態の複雑化を防ぐために、可能であればすぐにでもあいさつに行くことをおすすめします。

建物滅失登記の申請

建物滅失登記とは、建物を取り壊したときに必要となる手続きです。書面による申請だけではなく、オンライン申請を行うことも可能で、建物を取り壊した日から1か月以内に手続きを行うことが求められます。[注2]

手続きのときに必要となる書類は、以下のとおりです。

  • 建物滅失登記申請書
  • 取り壊した建物の位置を記した地図
  • 取り壊し証明書
  • 解体業者の各種証明書 など

建物滅失登記申請書については法務局から書式がダウンロード可能で、ほかの書類は解体業者から取得することが可能です。自分で申請することが難しい場合は、土地家屋調査士などのプロに手続きを代行してもらうとスムーズでしょう。

[注2]建物を取り壊した(建物滅失の登記をオンライン申請したい方):法務局

売却や建て替え

家の解体が終わったら、土地の売却や建て替えを進めましょう。使用していない土地であっても、そのまま放置しておくと固定資産税や土地計画税が課されるため損してしまいます。

解体前から売却や建て替えの計画を立てて、不動産会社やハウスメーカーと話し合っておくと、土地をより有効活用できるでしょう。

家の解体工事をするときの注意点

最後に、家の解体工事をするときの注意点について紹介します。解体工事で後悔することがないよう、以下の内容を念頭におきながら手配や手続きを進めましょう。

信頼できる業者に依頼する

解体工事を請け負う業者のなかには、許認可を受けていない業者や不正に高い金額を請求する業者が存在しています。高額請求やトラブルを防ぐためにも、よく検討して信頼できる業者に工事を依頼しましょう。

業者を選ぶときは、以下のようなポイントを意識すると失敗しにくくなります。

  • 都道府県知事の解体工事登録を受けている
  • 見積書を書面で用意してくれ、明細が記載されている
  • 事前にしっかりと契約書を締結する
  • 問い合わせ対応が丁寧
  • いい口コミが悪い口コミよりも多い
  • トラブルに備えて保険に加入している
  • 解体費用が安すぎない

複数の業者を比較すると相場や対応品質がしっかりと見えてくるため、優良企業を見極めやすくなります。

あとから追加料金がかかる場合がある

あらかじめ正確な見積もりを出してもらっていても、工事の過程で想定外のトラブルが起きてしまい、追加料金がかかることはあります。たとえば、以下のようなケースは追加料金が発生する可能性が高いため注意しましょう。

  • 材質にアスベストが含まれていた
  • 家具や家電などが残っていた
  • 土のなかに井戸や浄化槽が残っていた

工事中や施工後に追加料金を請求されることを防ぐには、事前の調査や準備が欠かせません。トラブルを防ぐためにも、できる限りしっかりと準備を進めておきましょう。

費用を抑える工夫をする

家の解体工事は高額になりやすいですが、少し工夫すれば費用を押さえられます。以下のポイントに気をつけると解体費を節約できるので、ぜひ意識してみてください。

  • 自治体の補助金制度を活用する
  • 12~3月の繁忙期を避ける
  • 家具や家電、設備など自分で処分できるものは処分する
  • 不用品は業者に買い取ってもらう

補助金の有無は自治体によって異なりますが、空き家対策のために個人が行う解体工事の費用を補助している自治体は多く存在しています。条件や金額は地域によって異なるので、工事前に役所などに問い合わせておくといいでしょう。

また家具や家電などの不用品は、不用品回収業者などに買い取ってもらうことをおすすめします。解体と不用品の買取の両方に対応している業者を活用すれば、処分の費用だけではなく手間も抑えられるため非常におすすめです。

家の解体工事は手順と流れを確認してスムーズに進めよう

家の解体工事は、決して解体業者に依頼して終わりではありません。施主自身が事前の準備や工事後の手続きなどを行わなくてはいけないため、時間も手間もかかる点に注意が必要です。

解体工事には3カ月程度の期間がかかるので、なるべく早い段階で手続きを進めることを意識しましょう。この記事でしっかりと工事の手順や流れを整理し、スムーズな工事を目指してみてください。

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