解体工事を依頼したいけど、何から始めればいいのか分からない場合には、解体工事の流れや手順、全体像を事前に知る必要があります。そのための解体工事についての知識、実際の工事の流れ、さらに解体工事に関する注意点を合わせて紹介していきます。
解体工事とは?
解体工事とは、名前の通り建物を解体して撤去する工事という意味です。解体工事と聞くと、建物そのものを全て取り壊すイメージがありますが、それだけではなく、周囲にある堀の解体、家の内装を変えるための解体、リフォームのための解体なども解体工事になるため、必ずしも全てを撤去して更地の状態にする工事が解体工事だとは限りません。また、解体工事はやみくもに物を壊しているわけではありません。建物や家屋とは様々な構造体で出来上がっています。構造の仕組み、素材、周りの環境など全てに気を付けながら作業しなければ事故の原因となる要素が多々あります。そのため、解体工事はリスクを伴い、回避するためには適切な処理で安全に解体工事を進めてくれるプロが必要です。
解体工事を検討するべきタイミングについて
解体工事を検討するタイミングの多くは、住み手がいなくなる家を取り壊したい場合、リフォームのため一部解体工事が必要である場合、近年だとバリアフリーを取り入れるために一部解体工事が必要など様々です。将来のために早いタイミングで解体工事を進めようと考える人もいますが、注意するべきなのは、「空き家」です。日本国内でも誰も住んでいない建物だけが残ってしまっているという状況を目にしますが、これは元々住んでいたオーナーが解体まで踏み込めずに放置されている状態です。解体工事費用がもったいない等の理由で工事をせずに放置している場合が多いのですが、空き家は、誰もメンテナンスしないため、通常の建物より老朽化が早くなるのが特徴です。そのような建物を放置すれば、自然災害等が原因で周囲に被害を及ぼすほか、誰も住んでいないことを理由に建物内が荒らされたり、近隣住民の迷惑になる可能性もあります。このような状態を防ぐためにも、誰も住む予定がない家屋は早い段階で解体工事に踏み込めるよう検討しなければなりません。
解体工事の種類
解体工事は、建物や家屋の素材、建物の構造、解体の目的によってその方法を変える必要があるため、その方法は数種類に分かれます。
家屋解体工事
家屋解体工事とは、家屋をまるごと解体する工事です。空き家対策や、新しい建物を造る場合、駐車場にする場合などに、この方法で工事が進められます。一度更地に戻すため、元々の建物内の水道・電気・ガスの停止、配線配管の撤去は、解体業者が行うのではなく、別の業者に依頼をするか自ら行なわなければなりません。また、大規模な解体作業となることが多いので、近隣住民への挨拶回りや、場所によってはガードマンを配置することも多い解体工事です。
内装解体工事
家屋解体工事とは違い、内装の変更や、リフォームを目的とする場合に建物や家屋の一部を解体する工事です。この解体工事は、中身をなくし建物の柱部分を残すように作業する場合もあります。建物全てを解体するわけではないので、建物の構造を入念に把握し傷つけないように特に慎重に行う工事となるため、比較的時間と費用がかかります。
外構解体工事
外構解体工事とは、庭やカーポート、堀や垣根などの、建物外の物を解体する工事です。解体する対象の規模により時間や費用が変わります。外構解体工事は、他の方法よりもほこりも舞いやすいため、家屋解体工事と同様に、近隣住民への挨拶回りをすることが多い解体工事となります。
解体工事の予算相場
解体工事の費用は、その工事の規模によって決まります。具体的には、建物が木造であれば比較的柔らかいため安く済み、鉄筋コンクリート造のように素材が硬く、簡単に解体出来ないような構造のものは高くなる傾向にあります。
また、作業を行う土地の面積によって費用が決まりますが、建物の階層によっても変わります。さらに、費用が高くなる要因として、周辺が閑静な住宅街である、解体する建物に隣接して別の建物がある、周辺道路に通学路がある、道幅が狭い、などが挙げられます。どの状況も拓けた場所での作業より周囲に気を配る必要があるため、重機が使えず手作業が増えたり、ガードマンの手配などで費用が加算されます。地域により相場は多少前後しますが、解体費用の平均相場は、坪単価30,000円となり、30坪であれば90万円、50坪であれば1,500,000円となります。しかし、この相場はあくまでも目安になるため、実際の現場調査後の見積もりをきちんと確認しなければなりません。
解体工事の流れとその全体像は?
いざ解体工事を始めようと決心しても、初めて依頼するのであればどのような手順で進めればいいのか分かりません。しかし、解体工事はプロの業者に依頼するため、全体の流れを知るだけで比較的スムーズに手続きを完了することができます。
解体業者を決め解体の依頼をする
解体工事をする場合、まずは解体を依頼する解体業者を決めなければなりません。この業者選びは慎重に行わないと、そのしわ寄せが施行に現れます。そのため、安い価格だからという理由で決定するのではなく、まずはホームページを確認してどのような作業を行うのか、周囲への対策はどうしているか、実績を確認しましょう。さらに、適切な資格や道具を所持しているのか、見積書を含む書類の作成をきちんと作成してくれるか、予算について話し合えるかなども気にしながら選びます。実際に解体工事を依頼する業者が決まれば、直接会って話をし、現地調査の手続きを始めます。
現地調査を元に見積書が作成される
現地調査とは、解体工事の見積書を作成するために、建物の床面積や構造、立地条件、工事車両の進入路などを確認するための作業です。解体業者が直接現地に向かい必要な項目をチェックしていきますが、この現地調査は立会いで行うようにしましょう。強制ではないですが、業者がどこまできちんと確認しているか把握しておく方が安心です。中にはこの現地調査を適当に流してしまい、結果として必要以上の費用を払うことになったり、調査不足から工事に支障が出る可能性もあります。また、現地調査後に見積書を作成するため、その内容をしっかり確認し、省略されている部分はないか必ず確認します。
解体工事の契約をする
見積書を確認し、内容に承諾できれば解体業者との契約になります。
この時、予算の確認だけでなく今後の流れ、どのような工法で作業するのか、その作業内容やスケジュール、周囲への対策について確認します。着工にあたっての疑問点や、それ以外にも不明な点や疑問があればこの段階での確認が必要です。後になって内容の変更や不満があっても、対応してもらえず泣き寝入り状態になる可能性もあります。完全に納得することができてから契約を結びます。
工事前の準備をする
工事前の準備として不用品の処分や、ライフラインの停止をしなければなりません。不用品の処分はもちろん、水道・電気・ガスの停止についても自分で停止しなければならないので、着工までのスケジュールを確認し、停止の手続きをします。停止する作業が自分では不安という場合、専門の業者に依頼することで安全に対処できるため、早めに連絡して対応できるよう準備をしなけばなりません。業者によっては水道は止めず散水に使う場合があるので事前に確認します。また、解体工事によって騒音や、ほこり、振動など近隣住民に対し迷惑になることも多くあるため、解体業者と一緒に挨拶回りを済ませて置くことも必要です。
解体工事開始
事前の準備を済ませたら、スケジュール通り解体工事が始まります。最初に重機の搬入、足場の設置を行うために外回りの解体を行います。次に足場の設置や、粉じんによる迷惑軽減のための養生を設置します。その後、屋根と建物内部で解体できるものを解体し、主要構造物の解体へと進みます。最後に建物の基礎部分を解体し、整地にして完了です。解体工事中の注意点として、工事中には立ち合いが可能なので、様子を確認しておきます。強制ではないですが、万が一の解体場所の食い違いなどを防ぐほか、作業が順調に進んでいるかを確認することできます。
解体工事終了後
解体工事が終了したら、引き渡しとなります。引き渡しは立ち合いの元、契約通りの内容で作業が終了しているか、抜けているところはないかを確認します。また、近隣の建物を破損させていないかを確認してから、近隣住民に工事終了の挨拶をし、合わせて周辺が綺麗な状態に戻っているかも確認します。無事に作業完了を見届けた後は、取り壊し証明書を貰い、滅失登記を行います。取り壊し証明書は、建物が登記簿に記載されていた場合それを滅失させるために必要な証明書です。解体工事業者が発行するため、忘れずに受け取りましょう。また、滅失登記とは建物が無くなったことを記録する役割があります。工事終了後、一カ月以内にこれを行う必要があり書類を作成し提出しますが、難しいと感じた場合には有料で土地家屋調査士に依頼することでスムーズに登録が完了します。最後に解体業者へ費用の支払いをし、解体工事は全て終了です。
解体工事をする場合に用意すべき書類と手続き
解体工事の流れは掴んだけれど、工事をするにあたって、どんな書類が必要か分からない場合があります。基本的には解体業者に相談することで、ある程度説明はしてもらえますが、必要な物を事前に把握することで余裕を持ち、迷わず対応することが出来ます。
まず、工事開始前に必要な書類は、解体工事の届出書、分別解体等の計画等、工程表、設計図又は写真、案内図、配置図です。これらの書類は基本的に解体業者が作成してくれますが、届け出は原則、本人が行います。本人以外が届け出する場合には委任状が必要になるため、事前に用意する必要があります。また、解体工事終了後に行う滅失登記の際に必要な書類は、登記申請書、解体業者から発行される取り壊し証明書、解体業者の印鑑証明、解体業者の資格証明書、住宅地図、登記申請書のコピーです。これらの書類も解体業者が関わりますので、ひとつひとつ確認しながら、書類に抜けがないか確認します。滅失登記は行わないと処罰の対象になるため、書類を確実に用意しましょう。[注1]
[注1]解体工事業登録関係 手引、申請書類 | 東京都都市整備局
解体工事でよくあるトラブル注意点
解体工事でよくあるトラブルや注意点について紹介します。トラブルを防ぐためには、事前に対策が取れるよう準備しなければなりません。
近隣住民への挨拶がない
解体工事を行う際に、近隣住民への挨拶は必須です。解体業者のみならず依頼主も挨拶をする必要がありますが、挨拶をしなかったり、挨拶態度が悪いとトラブルに発展する場合があります。解体工事をする場合に、一切騒音、振動を起こさないというのは不可能です。そのため、どのような日程や行程で進めていくのかなどを近隣住民へ伝えなければなりません。トラブルを起こさない為にも業者選びの段階で近隣住民への挨拶を適切に行ってくれるか確認します。
解体業者との認識の違い
解体業者と依頼主との間で起こりやすいトラブルとして、どこまで解体するのかで認識の違いが発覚し、残してほしかった庭や物置まで解体されてしまうというものです。解体し、取り壊してしまったものを戻すことは出来ない為、これを防ぐには工事前の打ち合わせの段階で解体しないで欲しい部分を明確にしておく必要があります。場合によっては契約書等の書面に直接記載することで、万が一の場合の対策になります。
解体許可を受けていない
解体工事を行うためには、建設業許可又は解体工事業登録が必要です。建設業許可とは、建設業法に基づく、建設工事を請け負うための許可になります。解体工事業登録とは、建設リサイクル業に基づく許認可で、建設許可を保有していない場合でも解体工事ができる登録制度です。ただし、この場合は請け負える工事の金額が5,000,000円(税込)未満とされているため、解体工事を行う場合には解体業者が適切な許可を受けているか確認しなければなりません。[注2]
これらの許可がない場合に解体工事を行うことは違反となるため、そのような違法業者への依頼は避けなければなりません。
[注2]建設リサイクル法:解体工事業者のみなさんへ | 東京都都市整備局
損害賠償保険への未加入
解体工事は常に危険が付きものです。現場での事故や、近隣の建物を損傷させてしまったなどのトラブルが起きた場合に、損害賠償保険に未加入の業者だと、依頼主に請求が来る可能性があります。そのため、損害賠償保険への加入をしている業者なのかどうかを事前に確認し、最悪の事態にならないよう対策を取る必要があります。
解体工事の流れと全体像を把握し安心して解体工事を依頼をしよう
解体工事の流れや手順、全体像について紹介しました。解体工事を行う場合には、その流れや全体像を把握することで、よりスムーズに手続きを行うことができます。また、解体工事の流れだけでなく、必要な書類や注意点を知ることで、安心して工事の依頼ができるため事前に確認することをおすすめします。
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